提言等について
B型肝炎ウイルスの持続感染者数は、日本全国で120万人以上とされており、その中で、集団予防接種による感染被害者は、全国に45万人以上もいるとされています(厚生労働省推計)。
親が子の健康を願って受けさせた予防接種での注射器の使い回しによって、たくさんの被害者が病気と向き合う人生を強いられています。
「この病気にかかり、人生を狂わされたのは何故か」
これは、日々、いのちの灯火(ともしび)と向き合って生きなければならないB型肝炎患者一人一人のいのちの叫びです。
私たちは、国に対して、「なぜこのような膨大な被害者が生じたのか、その原因を明らかにして、同じ過ちが繰り返されないようにして欲しい」と求めてきました。
そして、後述のとおり平成23年6月28日の基本合意に基づき平成24年5月31日に「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」が設置され、平成25年5月に「研究報告書」が、また、同年6月には「提言」がまとめられました。
これにより、国は、注射器を使い回せば肝炎になるおそれがあることを知っていたにもかかわらず、「安全性」より「効率性」を重視して、注射器の使い回しを放置してきたという真相が一層明らかになりました。
私たちは、この真相究明をより深めると共に、新たな被害が発生しないよう再発防止に取り組んでいます。
検討会設置の趣旨・経緯
平成23年6月28日に締結された基本合意において、「国は、集団予防接種等の際の注射器等の連続使用によるB型肝炎ウィルスへの感染被害の真相究明及び検証を第三者機関で行うとともに、再発防止策の実施に最善の努力を行うことを約する。」との内容が盛り込まれました。
この基本合意を受けて、平成24年5月31日に、「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」がスタートしました。
この検討会の構成員は20名で、医学者や法律家、医師会関係者、保健所関係者、薬害被害団体の代表、予防接種被害の会理事、日肝協の代表者から成ります。そして、原告団から2名の検討会構成員を出し、弁護団からも1名の構成員を出しております。
検討会の進め方としては、検討会で検証項目を策定し、その検証項目を、検討会の下に設置した「研究班」で調査研究し、調査研究結果を検討会に再び上げて、感染拡大の真相を究明し再発防止等の提言等を行うこととしています。
なお、原告団から参加している2名の構成員は、研究班員も兼ねています。
検討会の検討事項
検証項目については、以下の6点とされています。詳しくは、厚労省のHP(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ahdf.html#shingi19)を御参考下さい。
- 予防接種等の実態(時間軸での変遷)
- 日本におけるB型肝炎ウィルスの感染及び感染拡大の実態(時間軸での変遷)
- B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識について(時間軸での変遷)
※関係機関等とは、国(国立感染症研究所を含む)、自治体、関係学会、予防接種従事者、医療関係者等をいう。 - 集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応(時間軸での変遷)
- 諸外国における予防接種制度及び予防接種に伴う感染防止対策の実態(時間軸での変遷)
- 再発防止策の策定に向けた検討
原告団・弁護団の役割
私たちは、以上のような検討会・研究班に能動的に関わり、より深い検証を実現し、B型肝炎の感染拡大のような被害の再発防止に努めております。検討会・研究班に対しても、原告団・弁護団として積極的に関わっています。
集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大は、40万人以上もの被害者に甚大な被害をもたらした未曾有の事件です。何故、このようなことが起きたのか、というのは、感染被害者全員の共通の疑問です。通り一遍の検証に終わらないよう、私たちは努力していきます。
- 2012年5月31日~2013年6月18日
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厚生労働省にて、集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会が開かれ、その結果、「提言」「研究班報告」がまとめられました。
「提言」「研究班報告」は下記の厚労省ホームページの「検討会提言及び今後の取組」「研究班報告」でみることができます。
「提言」「研究班報告」はこちら
- 2013年6月18日
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「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」の終了にあたって、当弁護団・原告団から声明を出しました。
当弁護団・原告団の声明文はこちら