基本合意の成立
基本合意と特措法
私達は平成23年6月28日に国との間で基本合意を締結しました。
そして、この基本合意を受けて、今後提訴する方への対応も含めた全体の解決を図るため、平成24年1月13日から、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が施行され、裁判上の和解等が成立した方に対し、法に基づく給付金等が支給されることになりました。
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(e-Gov法令検索)
この基本合意では、
- 国が責任を認めて正式に謝罪すること
- 和解対象者の認定要件と和解金
詳しくはこちら(当ページ 全国原告団・弁護団と国が合意した基本合意の内容)
基本合意書(厚生労働省) -
国は、患者が不当な偏見・差別を受けることなく安心して暮らせるように啓発・広報に努めるとともに、肝炎ウイルス検査の一層の推進、肝炎医療の提供体制の整備、肝炎医療に係る研究の推進、医療費助成等の必要な施策を講ずるよう努めること(恒久対策)
詳しくはこちら(これからの目標 恒久対策) -
国は、集団予防接種等の際の注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルスへの感染被害の真相究明及び検証を第三者機関において行うとともに、再発防止策の実施に最善の努力を行うこと(真相究明・再発防止)
詳しくはこちら(これからの目標 真相究明・再発防止) -
国は、上記③④の施策の検討にあたり、原告の意見が肝炎推進対策協議会等に適切に付されるよう、当原告団・弁護団と協議・調整する場を設けること(大臣協議など)
詳しくはこちら(これからの目標 恒久対策)
が記載され、国との間で約束されています。
その後、私達は平成27年3月27日に国との間で基本合意その2を締結しました。
基本合意書 その2(厚生労働省)
そして、この基本合意その2を受けて、平成28年8月1日から「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律」が施行され、20年の除斥期間を経過した死亡、肝がん、肝硬変(重度)、肝硬変(軽度)の方々に対しても給付金等が支給されることになりました。
これらの基本合意等は、全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団(当原告団・弁護団)とその活動を支えて下さった方々による長きにわたる訴えと運動の結実といえます。
全国原告団・弁護団と国が合意した基本合意の内容
和解対象者認定基準
提訴可能な方の基準(認定要件)の概要は、以下のとおりです。
- 昭和16年7月2日以降の生まれであること
(昭和23年7月1日の予防接種法施行時以降に7歳未満であったこと) - B型肝炎ウイルスの持続感染者であること
(B型肝炎ウイルスのキャリア、慢性肝炎、肝がん、死亡) - 満7歳までに集団予防接種を受けたこと(母子手帳、接種痕、その他で立証)
- 母子感染ではないこと(母親がキャリア等ではないこと)、または 集団予防接種被害者である母からの感染=「2次感染被害者」であること
- 集団予防接種以外の感染原因がないこと
和解の内容
- 病態の区分
- 和解金
- 死亡・肝がん・肝硬変(重度)
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- 提訴までに20年を経過していない方
- 3,600万円
- 提訴までに20年を経過した方
- 900万円
- 肝硬変(軽度)
-
- 提訴までに20年を経過していない方
- 2,500万円
- 提訴までに20年を経過した方
-
- (1)現在、肝硬変(軽度)にり患している方 など
- 600万円
- (2)(1)以外の方
- 300万円
- 慢性B型肝炎
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- 提訴までに20年を経過していない方
- 1,250万円
- 提訴までに20年を経過した方
-
- (1)現在、肝硬変(軽度)にり患している方 など
- 300万円
- (2)(1)以外の方
- 150万円
- 無症候性キャリア
-
- 提訴までに20年を経過していない方
- 600万円
- 提訴までに20年を経過した方
- 50万円
※提訴までに20年を経過した無症候性キャリアの方は、和解金に加えて、今後の検査費用(年4回までの血液検査、画像検査年2回までのCT・MRI)及び年2回までの検査毎の手当1万5000円、家族の感染防止ワクチン費用を国が負担します。
今回の基本合意が成立したことの意義
-
多数の被害者に対する「司法救済制度」の確立の意義
国の試算でも、集団予防接種の使い回し被害者は、全国で40万人規模と言われています。
これらの被害者の多くが、病気の苦しみ、将来の不安、仕事を失い、家族生活を壊され、偏見・差別を受けながら今なお苦しんでいます。
今般の基本合意の締結およびこれを受けた特別措置法の成立により、各被害者が個別に国を提訴して和解をすることによって病態に応じた金額の給付金の支給を受けることができるようになりました。
なお、当原告団・弁護団は、他の法律事務所等の弁護士とは異なり、国との間で基本合意を締結した立場に基づき、基本合意および特措法上の記載では必ずしも明確ではない部分について継続的に協議を行い、解決を図るための場が設けられています。当原告団・弁護団は、この実務者協議を通じて少しでも各被害者の救済範囲を拡げることができるように交渉を行っています。 -
全てのウイルス性肝炎患者についての意義
国は、基本合意により、患者が不当な偏見・差別を受けることなく安心して暮らせるように啓発・広報に努めるとともに、肝炎ウイルス検査の一層の推進、肝炎医療の提供体制の整備、肝炎医療に係る研究の推進、医療費助成等の必要な施策を講ずるよう努めること(恒久対策)を約束しました。
また、国は、これらの施策の検討にあたって、原告の意見が適切に反映されるように、当原告団・弁護団と協議・調整する場を設けることを約束しました。
詳しくはこちら(これからの目標 恒久対策) -
B型肝炎ウイルス感染被害の真相究明および再発防止の意義
国は、基本合意において、集団予防接種等の際の注射器等の連続使用によるB型肝炎ウィルスへの感染被害の真相究明及び検証を第三者機関で行うとともに、再発防止策の実施に最善の努力を行うことを約束しました。
また、国はこれらの検証および施策の検討にあたり、当原告団・弁護団との間で継続的に協議する場を設けることを約束しました。
詳しくはこちら(これからの目標 真相究明・再発防止)
今後の課題と運動
- 被害者の全員救済に向けての個別和解手続
- 未提訴被害者への本件司法救済制度の周知・相談・提訴による、被害者の全員救済に向けての広範囲の活動
- 全てのウイルス性肝炎患者の恒久対策の活動(国との協議と、それを支える活動)
- 本件の真相解明等のための活動(国との協議及びそれを支える活動)
- 以上の活動の原告団、支える会の体制つくり